【警鐘】それって本当に“最新技術”?
最近よく見かけるようになったメニュー名。
「酸性ストレート」「オイルストレート」「髪質改善ストレート」…。
SNSやポータルサイトでは「最新技術」「柔らかい艶髪」「ダメージレス」などのキャッチコピーが並び、
一見すれば、“従来の縮毛矯正より優れている”ような印象を与えます。
でも、美容師として声を大にして言いたいことがあります。
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酸性ストレートもオイルストレートも、“最新技術”ではありません。
酸性ストレートは15年以上前から存在しています。
GMTやスピエラといった還元剤は、2000年代半ばにはすでに理美容の世界で使われており、
“最新”と呼ぶにはあまりにも古く、むしろ“ようやく一般に広まり始めただけ”のものです。
オイルストレートも同様。
処理剤や薬剤にオイルが配合されているだけで、
矯正技術そのものが進化しているわけではありません。
にもかかわらず、「最新技術」という言葉だけがひとり歩きしている。
その違和感こそ、今の美容業界が抱えている問題のひとつだと思います。
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そもそも、“最新技術”って何を指すのか?
ここで、立ち止まって考えてみてほしいんです。
- 「薬剤が新しいから最新?」
- 「導入メニューが今っぽいから最新?」
- 「言葉が流行ってるから最新?」
――どれも、“技術”とは言えないと思いませんか?
本当の技術とは、「何を使うか」ではなく、「どう使うか」。
毛髪診断、薬剤設計、操作精度、結果を見越した処理の組み立て…。
それらを使いこなして初めて“技術”と呼べるものです。
つまり、「薬剤を導入した=最新技術を持っている」わけではないし、
「オイルを使ってる=優しい仕上がり」なんて、あまりに表面的すぎる解釈なんです。
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「髪質改善風」なだけで、本質が伴っていない現実
よく見かけるこのフレーズ:
- 「今までにない柔らかいストレート」
- 「針金みたいな矯正はもう古い」
- 「自然な艶とまとまりを叶える最新技術」
…確かに、響きはいいかもしれません。
でも、それが本当に叶えられているのか。根拠がどこにあるのか。
柔らかい仕上がりは、薬剤のおかげではありません。
オイルが入っているから綺麗になるのではなく、
美容師の知識・判断・操作の積み重ねでしか生み出せない質感です。
薬剤で“それっぽく見せてるだけ”のストレートは、時間が経てばボロが出ます。
本当に技術力のある美容師がいれば、たとえ薬剤が古くても、美しい矯正は可能です。
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提案するのはお客様ではなく、美容師の仕事
酸性かアルカリか。矯正かトリートメントか。
この判断をお客様に委ねてはいけません。
美容師の知識と経験をもとに、最善の設計を組むことこそが本来の仕事です。
にもかかわらず、薬剤の名前やパッケージメニューだけで“選ばせている”サロンが増えている。
それでは、お客様の髪の未来に責任を持てません。
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「最新技術に見えるもの」ではなく、「技術の本質を持つ人」を選んでください。
オイルストレートも酸性矯正も、手段のひとつでしかありません。
重要なのは、“その人が何を見て・どう判断して・どこまで考えて施術しているか”。
「柔らかく仕上がるオイルストレート」も、
「今までと違う酸性ストレート」も、
薬剤が導くものではなく、それを扱う美容師の設計と責任でしか完成しません。
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美しい髪は、流行からは生まれません。
最新っぽい言葉に頼らず、
“何を使っているか”よりも“誰が使っているか”を信じてほしい。
私たちは、薬剤の名前ではなく、技術で結果を出す美容師でありたいと思っています。
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