SNSで話題の【緑の添加物】、プロが本気で警告します。

銅クロロフィリンを矯正2剤に混ぜる美容師がいることへの疑問。

その「優しさ」のつもりが、髪に“酸化爆弾”落としてませんか? 


最近、“矯正の2剤に銅クロロフィリン(=緑の色素)を混ぜる”という処理が一部で流行っているようです。 


「抗酸化になる」 

「活性酸素を抑えられる」 

「残臭が消える」 

「髪に優しい」


そんなふうに謳われているみたいですが、 結論から言います。

むしろ活性酸素を増やしてます。 

しかも、酸化暴走の引き金になりかねない。 

なのに「優しい処理」のような顔をして、 堂々とSNSで発信されてることに、私は正直ゾッとしています。 



 ■ 銅クロロフィリンとは? 

そもそも銅クロロフィリン(銅クロロフィリンナトリウム)は、葉緑素を加工して水溶性にした“緑の色素”。 

食品添加物(着色料)として安全性は高く、デオドラント(消臭)や口臭予防などに使われることもあります。 

つまり、安全な成分=髪にも優しいという“イメージ”だけが先行してる状態。 

でも、美容技術として見たとき。 

しかも【過酸化水素(H₂O₂)】と【銅イオン(Cu²⁺)】を同時に扱う矯正2剤に混ぜるとなれば、話はまったく別です。 



■ 過酸化水素×銅イオン=活性酸素の暴走? 

 金属イオンと過酸化水素を混ぜると、何が起きるか知っていますか? 

 Fenton(フェントン)反応。 

つまり、【超攻撃的なヒドロキシルラジカル(OH・)】を大量に発生させる可能性があるんです。 フェントン反応はもともと鉄イオン×過酸化水素の組み合わせで有名ですが、 銅イオンでも同様の反応が確認されています。 

このヒドロキシルラジカル、何がやばいかって、 “毛髪のタンパク質・脂質・メラニン色素”を片っ端から酸化破壊する猛毒レベルの活性酸素。 


これは“酸化効率”というより、 酸化が制御不能に加速する副反応とも言えます。 

酸化効率が「上がる」と感じるのは科学的根拠が乏しく、 この暴走気味のラジカル生成によって“酸化が速く進みすぎる”ためではないか、という見方もあります。 


でもそれって、 結合を安定して再形成しているのではなく、髪内部の他の構造にもダメージを与えている可能性があるということです。 


 要するに、 髪を治そうとしているのに、 自分で【酸化爆弾】を髪の中に仕込んでるようなもの。 

 これ、ほんとに「優しい」処理とか「髪の毛に必要」な処理と言えるのでしょうか? 


 

■ なぜ大手メーカーはやらないのか? 

 大手メーカーがこの処理をやらないのは簡単です。 


【意味がない】 
【安定性が低い】 
【リスクが大きい】 
【効果に再現性がない】 


からです。

香料で臭いは抑えられるし、 還元臭を飛ばすのは“水洗と酸化”が一番確実。 

毛髪強度?酸化促進?タンパク変性が残ってる状態で銅クロロを入れたからって、何がどう結合するのか曖昧すぎ。 

科学的にも、実感レベルでも、はっきり言って“フワッとした雰囲気だけの処理”です。


 

■「抗酸化成分」=髪にいい…じゃない

そもそも、「抗酸化=髪にいい」と思われがちですが、 銅クロロフィリンは【抗酸化剤ではなく、酸化還元反応の触媒】です。 

つまり、 環境によっては【酸化を促進する側】にも回る。 


 実際、美容業界で昔から使われてきた「ヘマチン」だって、カラー促進・ブロム酸の酸化補助などで“酸化を助ける成分”として使われています。 

 それを「抗酸化成分だから安心です」って、どの口が言うんだろう?って思う。


 

■ お客様の髪、誰の実験材料にしてるの? 

しかも一番問題なのは“講師”とか“プロっぽい人”が「いいよ」と言えば、 中身も分からずみんなが真似するこの業界の風潮。 

現場の美容師も、SNSでバズってる処理を見て、 「みんなやってるならいいか」ってなる。 

そして下調べもせずに安直に動画にして、差別化をするためにアピールとしてSNSへ投稿してしまう。

お客様も、そういう投稿を観て「髪に優しいなら」「消臭になるならいいか」ってなる。 


でもそれ、 本当の意味で髪のこと、考えてますか? 


意味のない添加物で“やってる感”だけ出して、 結果、時間が経過してから髪が酸化して硬くなったら。 

誰が責任取るんですか? 

今が綺麗なのは当たり前ですが、髪の毛に結果が出てくるのは半年から一年後に目に見える形で、当時の施術の事後経過が結果として現れてきます。



■ 本当に必要なのか?

一度、冷静に考えてほしい。 

髪の状態は1人1人違います。 

施術の判断は、その髪の履歴・質感・目的に合わせて行うもの。 

そこに


「SNSで見たから入れてみた」

「講師がいいって言ってた」

だけで混ぜる処理が、髪にとってどんな影響を与えるか。 

見た、聞いた、それだけでお客様に行うことに危険性を感じている美容師は本当にごく僅か。


【その判断、本当に必要?】 

【混ぜないといけない理由はある?】 

【ただ“やってみた”で、傷ませてない?】 


 そう自問できる美容師こそが、信頼される人だと思います。 



 最後に。 

 これは単なる成分批判じゃありません。 

使い方を間違えなければ、銅クロロも良い効果をもたらしてくれる成分です。


“なんとなくの空気感で広がっていく技術”に対する警鐘です。 


処理剤が悪いんじゃない。 


意味も考えずに使う側に、責任がある。 

「優しいと思ってやったことが、実は逆効果だった」 そんな後悔を、お客様にさせたくないからこそ。 

私たちプロはもっと冷静に、正しく判断していきたい。

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