矯正とカラー、同日施術で「綺麗」が崩れる理由。1年後、毛先は嘘をつかない。

「縮毛矯正とカラー、同じ日にできますか?」 

この質問、ものすごくよく聞かれます。 

サロンの予約ページにも書いてるし、ブログにもSNSにも何度か載せてるんだけど、 きっと“なんとなく”聞いてる人がほとんどだと思う。 


これは私にとって、 単なる“スケジュールの都合”じゃなくて、“髪を守るための線引き”なんです。




 私は基本的に、縮毛矯正とカラーの同日施術はお断りしています。

 

理由ははっきりしていて、 髪の内部が酸化しきらないままカラー剤を重ねると、あとから必ずダメージが浮き彫りになるから。 

しかもそれは、当日じゃなくて半年後、1年後、2年後。 気づいたときには毛先がバサバサ、乾きづらくてまとまらない、 熱を当ててもツヤが出ず、毛先が白っぽく“焼けたように見える”。 

これ全部、「同日施術による酸化不足」と「ケミカルの重ねがけ」のツケなんです。 


 矯正は、髪の中のSS結合(シスチン結合)を一度“壊して”、 アイロンで形を作り、最後に酸化させて“再び固定”する施術。 


つまり、再構築手術みたいなもの。 


そのデリケートな処理の直後に、アルカリや染料や過酸化水素を含んだカラー剤を重ねると、 


・結合がちゃんと戻らない(→強度不足) 
・薬剤の残留が起こる(→酸化不良) 
・膨潤が再び起こる(→不安定) 


という現象が、内部で密かに進行します。 

「見た目は綺麗に見える」のがまた厄介で、 お客様側は「大丈夫だったじゃん」と思うかもしれない。 

でも、美容師側は知ってる。あの質感は“時間の問題”だってことを。 



 

 私自身、何百人もの髪を触ってきて、 「昔、矯正とカラーを同じ日にしてたんです」 という人の毛先の“質感の壊れ方”には共通点がある。 


 ・ 芯がなくなっている 
・濡らすとビヨンと伸びる 
・乾かすとジリつく 
・表面がささくれて、ひっかかる 


トリートメントをしても一時的に手触りがよくなるだけで、 構造そのものが崩れてるから根本的には戻らない。




もちろん、髪の履歴や薬剤設計によっては、 “その場しのぎ”で同日施術を行うことも、業界的には珍しくありません。 

むしろ、商売としては「一日で全部やって、満足してもらう」方が都合がいい。 


でも私は、その考え方が好きじゃない。 


今が綺麗でも、1年後にバサバサの髪が残るなら意味がないと思ってる。 

私が信じてるのは、「髪を育てていく」スタンス。 

そのためには、必要な時間を惜しまないし、「今はやらない方がいい」とはっきり言う。




じゃあ「絶対ダメ」かというと、そうじゃない。 

例外的に、根元リタッチだけのカラーで、髪質・薬剤選定・工程すべてを調整すれば、 矯正との同日施術が成立するケースもある。 

でもその判断はプロにしかできないし、 安全な施術のためには“髪の履歴・構造・薬剤知識・技術”の全部が必要になる。 

そんな中で「時間がないから一緒にやってほしい」と言われると、 正直、すごく葛藤する。 


 私は、丁寧に積み重ねてきた髪が、1年後に“生きている”ことを大切にしたい。 

扱いやすくて、乾かすだけでまとまる髪を、ずっと続けてほしい。 

だから、縮毛矯正とカラーは分けてほしい。 それが、私の髪に対するスタンスです。 




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